「リスクが高いってことは、それだけ危険ってことだよね」
「リターンが高い商品が一番お得!」
このような感覚で投資を始めようとしているなら、ちょっと待ってください。
投資における「リスク」と「リターン」は、表裏一体の関係にあります。単なる危険性や利益の大小とは、少し意味が違います。
ここでは、リスクとリターンの基本的な関係性を、数字・例・図解的なイメージでやさしく解説します。
リスク=不確実性、ブレ幅のこと
投資で言う「リスク」とは、結果が予測からどれだけブレるかということを指します。
つまり、「損するかもしれない確率」ではなく、「結果の振れ幅」の大きさなのです。
たとえば、次のような年利のパターンを考えてみてください。
-
投資A:毎年ほぼ5%で安定して増える
-
投資B:年によって-10%〜+20%と振れ幅が大きいが、平均すると5%
この2つはどちらも「期待リターン=5%」です。
でも、投資Aはリスクが小さく、投資Bはリスクが大きい。
なぜなら、Bの方が“結果が年によって大きく変動する”からです。
リターン=得られる可能性のある収益
一方の「リターン」は、投資によって得られる収益、または期待される利益のことです。
これはプラスであることもあれば、マイナスになることもあります。
-
リターンが高いほど、成功したときの利益が大きくなる
-
ただし、それに伴ってリスク(ブレ幅)も大きくなる
たとえば、債券(低リターン・低リスク)と株式(高リターン・高リスク)を比べるとよくわかります。
リターンを大きく狙うには、それ相応の変動=リスクを引き受けなければならないということです。
リスクとリターンは常にセットでついてくる
投資の世界には、よくこう言われる言葉があります。
「リターンには必ずリスクが伴う」
「ノーリスクで高リターンの商品は存在しない」
これは真理です。
リスクが高い商品はリターンも大きい可能性がありますが、それと同じだけ損をする可能性も含んでいます。
逆に、リスクを極限まで抑えた投資は、当然ながらリターンも小さくなる構造です。
ですから「安全に10%儲かる」投資商品などは、基本的にあり得ません。もしあるとしたら、それは詐欺です。
リスク=悪、ではない。上にも下にもブレる
もうひとつ大事な考え方があります。
多くの人が「リスク=損失、マイナス」と思っていますが、これは誤解です。
リスクとは、下振れだけでなく、上振れの可能性も含む概念なのです。
たとえば、「平均5%の投資商品」があった場合、
実際の年利が4%の年もあれば、10%の年も、-3%の年もあるかもしれません。
これが“リスクの範囲”です。
その振れ幅が「大きいほどリスクが高い」とされ、
その分「リターンが大きくなり得る」ということになります。
リスクを受け入れることがリターンを得る前提
リスクを完全に避けて通ることはできません。
しかし、適切にリスクを理解し、自分の許容範囲内で投資を行えば、**リスクは“敵”ではなく、“資産を増やすための味方”**になります。
特にインデックス投資のように、分散投資と時間の力を使えば、大きなリスクも“なだらかなブレ”としてコントロール可能です。
まとめ:リスクとリターンの関係を正しく理解してこそ、長期投資は怖くなくなる
-
リスクとは「損をする可能性」ではなく、「結果のブレ幅」
-
リターンが大きい投資ほど、リスク(振れ幅)も大きくなる
-
安定した資産運用をするには、リスクと上手に付き合うことが重要
-
リスクを理解し、許容し、戦略をもって投資することで、着実に資産を増やせる
「なるほど、リスクって怖いだけのものじゃないんだ」
そう思えた方は、すでに投資家としての第一歩を踏み出しています。
コメント