はじめに
「インデックス投資はほったらかしでいいって聞いたけど、リバランスって何?」 「やったほうがいいのは分かるけど、いつ?どうやって?」
こんな疑問を持っていませんか?
リバランスとは、ポートフォリオ(資産配分)を定期的に見直し、元のバランスに戻すことを指します。実はこの「地味な作業」こそが、長期投資を安定的に続けるためのカギになります。
この記事では、投資初心者にもわかりやすく、リバランスの意味・方法・やるべきタイミング、そしてよくある誤解まで丁寧に解説します。
リバランスとは何か?その役割と重要性
リバランスとは、資産配分が崩れたときに元の割合に戻す作業のことです。たとえば、「株式50%・債券50%」というバランスで始めた人が、株価の上昇で「株式60%・債券40%」になった場合に、再び50:50に調整することを言います。
なぜリバランスが必要なの?
資産配分が崩れると、リスクの取り方も変わってしまいます。 たとえば、株式が上昇しすぎるとポートフォリオがリスク過多になり、相場が下落した際に大きな損失を被るリスクも増します。リバランスは、リスクを一定に保ちながら安定した運用を続けるための重要な手段なのです。
初心者はリスク資産50%・無リスク資産50%を目指そう
投資初心者の方には、まずリスク資産50%:無リスク資産50%というシンプルな配分がおすすめです。(例:株式インデックスファンドと現金を半々で保有。。)
このバランスなら、株価が急落したときでも資産全体への影響を半減できます。また、株式が好調なときは資産全体がゆるやかに成長し、逆に下落時は無リスク資産がクッションとなるため、心理的にも耐えやすい構造になります。
初心者が最も避けたいのは、「下落で不安になって投資をやめてしまうこと」です。50:50の構成は、そんな場面でも投資を継続しやすい、心の安定を保つための良いスタートラインと言えるでしょう。
よくある誤解:「増えた資産を売るなんてもったいない」?
リバランスでは、値上がりした資産を一部売却して、値下がりしている資産を買い増すという行為が必要になります。これを聞くと、「せっかく増えた資産をわざわざ売るなんて、もったいないのでは?」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、リバランスは短期的な利得を削る代わりに、長期的なリスクコントロールと安定成長を優先する行為です。むしろ、リバランスをしないと「儲かってるから大丈夫」と油断しているうちに、大きな調整局面で資産を失うリスクが高まる可能性があります。
リバランスの方法|具体的なやり方
リバランスには大きく分けて2つの方法があります。
1. 売却して再配分する方法
これはもっとも基本的なやり方です。ポートフォリオ内の増えすぎた資産を売って、減ってしまった資産を買い増すことで、目標とする配分比率に戻します。
例:
- 目標:株式70%、債券30%
- 現在:株式80%、債券20% → 株式を一部売却し、債券を買い増して70:30に戻す
この方法はシンプルで効果的ですが、課税口座の場合は売却益に対して税金がかかる点に注意が必要です。
2. 積立や入金で調整する方法
より税金の影響を抑えたい場合は、追加投資のタイミングでバランスを調整する方法もあります。
例:
- 株式が増えて債券が減っている → 次回の積立は債券だけに集中して入れる
この方法なら売却せずに配分を徐々に整えることが可能です。(ノーセルリバランスと呼ばれます。)
特につみたてNISAやiDeCoなど非課税口座で有効です。
リバランスのタイミング|いつやればいいの?
1. 年に1回など定期的に行う
もっとも一般的なのが「年に1回」など、カレンダーで決めておく方法です。毎年の決算時や年始など、ルール化してしまえば迷いも減ります。
- メリット:習慣化できる、相場に振り回されにくい
- デメリット:急激な相場変動には対応しづらい
2. 乖離幅に応じて行う
もう一つは、目標配分から一定以上のズレ(例:±5%)があった場合にのみ行う方法です。
- メリット:無駄な売買が減る、税金・手数料の節約にも
- デメリット:管理がやや手間、判断に迷うことも
実際は初心者でも上級者でも「年1回+大きくズレたら臨時調整」の併用で十分です。
リバランスの成果例:S&P500を月2万円、現金を月2万円、20年間積立した場合
たとえば、2005年から2024年までの20年間、&P500インデックスファンドに毎月2万円、現金を毎月2万円貯金しつつ、年に1度リスク資産と無リスク資産を50:50にリバランスしていたケースを考えます。
結果として:
- 株式リターンは年平均10%
- 無リスク資産は年0.1%前後(定期預金や個人向け国債)
- リーマンショックやコロナショックでも大きな損失を回避
リバランスによって値上がりした株式を一部売却し、現金や債券を買い増すことで暴落時にも落ち着いて継続投資でき、最終的には元本480万円が約1868万円に増加しています。(リスクを半分にしつつ、りたーんは20年で4倍以上であれば複利利回り7.2%を超えていて十分すぎるリターンを達成。)
これは、リバランスによって「高いときに売り、安いときに買う」という投資の基本を機械的に実行できた結果とも言えます。
NISA・iDeCo口座でのリバランスは?
つみたてNISAやiDeCoでは、基本的に売却による課税がありません。そのため、リバランスの自由度が高く、積極的に活用しやすいのがメリットです。
特につみたてNISAは「積立設定の変更」だけでもリバランスが可能です。たとえば、成長しすぎた資産の積立を一時停止し、他の資産への積立を増やすだけでも、時間をかけて配分を整えることができます。
まとめ|リバランスは地味だけど投資を成功させる秘訣
リバランスは派手さのない地味な作業に思えるかもしれませんが、長期投資を成功に導く重要なプロセスです。
- 増えた資産を売ることに抵抗があっても、冷静にリスク管理を優先しましょう
- 年1回などルールを決めて、淡々と継続することが大切です
- 売却課税が気になるなら、積立設定で調整する方法も有効です
- 初心者はまず50:50のシンプルな配分で、投資の感覚と耐性を養うのがおすすめです
「資産を育てる」だけでなく、「育てた資産を守る」ためにも、ぜひリバランスを活用してみてください。
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